最近は、ダイエットや糖尿病の方面で糖質制限が熱いです。
とても簡単に書くと、糖質が不足した場合、ヒトはアミノ酸と脂肪をエネルギー源として使うようになります。言い換えると脂肪を燃焼しやすい体になるので、ダイエットに効果的だと言われています。
トライアスリートとして気になるのは、その脂肪を燃焼しやすい体ですよね。
しかし、マラソンをやっている人のブログなどを見ていると、糖質制限して失敗した、スピードが出せなくなった、と書いていらっしゃる方を時々見かけます。逆に糖質制限で成功している人の話を僕自身はほとんど聞いたことがありません。
では、やはり糖質制限はトライアスリートにはナンセンスなのでしょうか?
運動に使われるエネルギー源
運動に使われるエネルギー源は糖質(グリコーゲン)と脂肪です。(実際はタンパク質もエネルギー源になります)
実際の運動ではこの2つのエネルギー源が明確に切り替わるわけではなく糖質と脂肪の両方をエネルギー源としますが、運動強度が高いほど糖質の使用比率が増えます。
そして、残念なことに体に蓄えられた糖質(グリコーゲン)は2時間ぐらいしかもちません。
ということは、トライアスロンではオリンピックディスタンスでも体内の糖質だけで完走することは難しいです。だから補給食は糖質たっぷりなわけですね。
一方で、脂肪は体にたくさん蓄えられており、痩せているヒトでもフルマラソンを何回も完走できるぐらいの量があります。しかし、運動強度を上げるとほとんど使われなくなってきます。
このことから、もし高い運動強度でも脂肪を使える体になれば、とても有利にトライアスロンをできそうですよね。で、その能力を鍛えるのがいわゆるLSDという練習になります。
糖質の過剰摂取は脂肪を使えなくする
ところが、普段から糖質をたくさん食べる生活をしている場合、脂肪からエネルギーを生み出すシステムの働きが弱まります。さらに糖質を摂ってインスリンが大量に分泌されると筋肉は脂肪でなく糖質をエネルギー源に使おうとします。つまり、
糖質をたくさん摂る=脂肪をうまく使えない体にしている
ということになります。
しかし、一般的にはアスリートにとって糖質(炭水化物)は重要なエネルギー源と言われているので、遠慮無くたくさん食べる人が多いと思います(僕も昔はそうでした)
体力を付けようと炭水化物をたくさん食べることが、逆に体力の向上を妨げている可能性があるわけです。
ここで、登場するのが糖質制限です。普段から糖質を摂らない生活をすると体は嫌でも脂肪をエネルギー源とするシステムに切り替わります。
この状態でトレーニングをすれば、脂肪を高い運動強度でも使える体になるのでは・・・
という発想がでてくるのは当然だと思います。
しかし、ここには大きな落とし穴があると考えています。
今まで通りの練習方法ではダメ
トライアスロンのトレーニングは8割ぐらいは有酸素運動のレベルで行うのが良いとされていますが、このペースの練習は単調でつまらないと感じる人がほとんどで、自然とオーバーペースになっている場合が多いと思います。
特にチーム練習などでは、いつの間にか競争になってLTを越えるレベルの運動強度になることが多いのではないでしょうか?その方が頑張った感がありますしね。
スピードを付けるためのインターバルトレーニングも同じです。
高い運動強度のトレーニングでは絶対に糖質(グリコーゲン)を使います。普段から糖質をたくさん食べて筋肉にグリコーゲンがしっかり蓄えられている人は問題ありませんが、糖質制限をしている人は体に蓄えられているグリコーゲンの絶対量が少ないです。
つまり、運動強度の高いトレーニングをするとあっという間にグリコーゲンを使い果たし、すぐに走れなくなってしまうのです。だから、今まで通りの練習内容で単純に糖質制限を取り入れるとスピードが無くなってしまうのです。
ひたすら有酸素レベルのトレーニングを行うべし
一つの解決策としてはひたすらLT以下の有酸素運動レベルのトレーニングに徹するということが考えられます。そうすることで、このレベルで走ることができるスピードを徐々に高めていく方法です。これはマフェトン理論の考えた方そのままですね。
マフェトン博士はこのレベルの運動だけで十分にスピードがつくといっています。ただし、時間がかかるとも言っています。
短期間でスピードを上げたいとなると、どうしてもLTレベルでのトレーニングやインターバルを取り入れたくなります。
トレーニング後のみ糖質をしっかり摂る
そこでもう一つの解決策として、トレーニング後にだけしっかりと糖質を食べるということが考えられます。そのほかの食事は糖質カット。そうすることで筋肉内にグリコーゲンを蓄えつつ脂肪を使いやすい体にできる可能性が高いです。
その理由ですが、運動直後は食べた糖質が優先的に筋肉に取り込まれます。とりこまれた糖質はグリコーゲンとして蓄えられますが、嬉しいことに一旦筋肉内に取り込まれたグリコーゲンは筋肉内でしか使えません。例え糖質制限で体内の糖質が不足しても筋肉から糖質を取り出す事は無いのです。
ですから、次の練習の時も筋肉内には豊富にグリコーゲンが蓄えられていることになります。そうすると、理論的にはインターバルトレーニングをしてもエネルギー切れにならないのではないかと。
この方法が本当に効果があるかどうかはわかりませんが、これと似た食事の摂り方をするダイエット方法は筋肉を落とさず脂肪だけを落とす方法として海外で高い実績を上げています。
ということで、今回の伊良湖までのトレーニングでは10週目ぐらいまではマフェトン理論に従い、その時点でのスピードがあまりに遅かったら、残りはこの方法でインターバルなどを取り入れようかなと考えています。
3ヶ月という期間はマフェトン理論の想定している期間としては短すぎるので、そのままやっていても恐らくスピードがつかないと予想しているんですよね・・・
その切り札としてこれが使えたら嬉しいなぁ。大失敗か成功かは乞うご期待。
ちなみに糖質制限はこの本を読むとわかりやすいです。
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