心拍数からパワーを推定するという何とも怪しい商品PowerCalを購入してみました。
ずっと使っていたGarminのハートレートモニターの電極部が剥がれてきていて、それが原因かどうかは分かりませんがランではおかしな心拍数を表示することが多くなり、そろそろ買い換え時かなと考えていました。
どうせ買うなら、新しい機能がついているものに挑戦しようと思って購入に踏み切った次第です。
心拍数からパワーを推定というと様々なツッコミどころがあるのですが、個人的には絶対値はどちらでもよくて相対値がしっかりでるならアイアンマンでのペース管理に使えると目論んでいます。
ペース管理とパワーメーター
アイアンマンのバイクパートではペース管理がとても重要になります。
僕が初めてアイアンマンに参加したとき、Ceepoの社長の田中さんから「最初はのんびり、120km過ぎたあたりから頑張るというぐらいでよい」とアドバイスを受けました。
それぐらいのペースで走ってちょうどイーブンになるぐらいだそうですが、実際に参加して思うのは本当にそうだなということです。
ただ、どうしてもスイムから上がった直後って元気だから頑張ってしまうんですよね。あと、上り坂とかで他の選手に抜かれるとつい頑張ってしまったり・・・
そういう意味でペースを一定に管理するのは重要だけど難しいのですが、そこで便利な指標がパワーになります。
事前にテストして自分のパワーを把握しておく必要がありますが、一定のパワーになるように走ることでランに余力を残した上で体力の上限ギリギリのペースを管理することができるようになります。
こう書くと、パワーメーターってとても魅力的な機材なのですが、お値段がとっても高いです。なので1/10ぐらいの価格のPowerCalでそれなりに使えそうな数字が出るならしめたものですね。
PowerCalの購入先
購入は日本代理店のキルシュベルクさんのサイト、もしくはAmazonから購入できます。
ANT+版とBluetooth版があります。スマホで管理したい人はBluetooth版の方がよいかもしれませんね。僕は迷わずANT+版です。値段もこちらの方が安いですしね。
ホームページには累計2,500本突破と書かれていますが多いのか少ないのかどうなんでしょうね?
キルシュベルクさんのサイトにはQ&Aもあるので(レイアウト崩れていてかなり非常に読みにくいです)、PowerCalが気になる人はよく読んでみるとよいと思います。
PowerCal 開封の儀
では、PowerCalの開封の儀といきたいと思います。
箱はこんな感じ。ハートレートモニターのベルトだけですからコンパクトです。
箱の裏を見るとPowerTapの他のアクセサリーの名前書いてあります。どうやら箱は共通でシールで区別しているようですね。
同梱物はこれだけ。
取説には日本語がありませんが必要ないと思います。装着の仕方は普通のハートレートモニターを同じですし、調整するのはベルトの長さぐらいです。特に何か設定する必要はありません。
試作段階ではユーザーに合わせてキャリブレーションする仕様になっていたそうですが、研究の結果「キャリブレーションで変わる差よりも推定パワーの誤差の方が大きいのでやる意味はない」という結論になり、キャリブレーションなどはしないで使う仕様になっています。(※一応キャリブレーション機能の自体は生きていて、その方法もキュベルクさんのサイトに掲載されています)
この事実から考えると、かなり大雑把なデータしか取れない可能性がプンプンしますね(笑)まぁ、それは実際につかってのお楽しみということで。
心拍計としては正面の送信ユニットにスナップで止める仕組みになっていて、装着はとてもやりやすいです。
スナップボタンが胸に触りますが特に気になりませんし、装着のやりやすさは今まで使ってきたハートレートモニターの中では一番良いかもしれません。
ただ、ベルトの長さ調節はすこしやりにくいかなと思いました。
Garminとのペアリング
パワーを測定するためには対応したANT+規格のサイクルコンピューターが必要です。幸いなことに愛用しているGarmin 910XTはパワーデーターに対応しているのでこれを使うことにしました。
PowerCalを使えるようにする設定は簡単です。スピード・ケイデンスセンサーをペアリングする作業とほぼ同じです。※下記の手順は英語版の910XTです。
- PowerCalを装着
- 910XTをバイクモードにする(パワーはバイクでしか測定できません)
- MODEボタンを押して
Setting → Bike Settings → PowerCalを使うバイクを選択 - ANT+Powerを選択
- Power meter Present? をYesにして、Searchを選択する
- 無事に見つかるとDetectedとメッセージがでる
- キャリブレーションするかどうか聞いてくるのでNoを選択
これだけでOKです。
これ以降はバイクモードのすると自動的に認識しくれますが、毎回「キャリブレーションしますか?」と聞いてくるようになります。面倒くさいですが毎回Noを選択しましょう。他のパワーメータだとモデルによっては毎回キャリブレーションを必要とするものもあるので仕方ない仕様ですね。
あとはディスプレイの表示でパワーを表示するように選択すればOK。
ただし、表示させてみれば分かりますがリアルタイム表示させると値の変動が激しすぎて使いものになりません。
現実的には3秒平均・10秒平均・30秒平均のどれかを選ぶことになると思います。少し使った感じでは3秒平均なら数字がだいぶ落ち着いた感じになり何とか使えるレベルかなと思います。
実走に使ってみた印象
動かずジッとしていてもパワーが表示されることもありますが、基本的にはペダリングをやめると0Wと表示されたり、踏み込んで走っているとパワーが上がったりと、状況に応じてそれっぽい数字はでます。心拍数を見ているのではなく心拍数の変化率や心拍のパターンをもとに計算しているのではないかと予想するのですがどうなんでしょうね?
下図は100km程度を持久走レベル(ゆっくり)で走った時のデータをGoldenCheetahという無料の解析ソフトで読み込んだデータです。黄色がパワーです。
上はスムージング無しの生データに近いもので、下はスムージングをかけたものです。記録されたデータをみるとそれっぽいデータにはなっていますね。
普段のコンピュトレーナーで見ているパワーから考えると、平均パワーに関してはこのペースならこれぐらいかな・・・と思わせる数字になっています。このあたりの精度についてはコンピュトレーナーを使った練習との比較をそのうちやりたいと思っています。
実際の走行中にまともに使えるかですが、負荷の変化に対する追従性はワンテンポ遅れますし変動幅も大きいです。販売サイトにも書いてありますがインターバル練習の指標にするといったような短時間で精度の良いパワーが必要なシチュエーションでは役に立たないと考えた方が良いです。
一定ペースではどうかというと、これもリアルタイムでは変動が大きく微妙です。3秒・10秒・30秒平均を表示させてチェックしましたが、30秒平均でもかなり数値が変動します。平地を一定ペース巡航だと比較的安定した数字になるのですが、少しアップダウンがあったりして乱れると数字がバラバラでよくわからなくなってきます。
ですので、リアルタイムでパワーを一定幅以下に抑えるような走り方で目安にするには厳しいかもしれません。
もう少し走り込んで「クセ」を掴むことができれば使えるかもしれませんが、平均値を見てペースを確認するというレベルの使い方が現実的かな〜というのが2回ほど実走してみての印象です。
走行後のまとまったデータとして見ると割とまともそうなので、レースをどのように走ったかの分析には使えそうですが、当初目論んでいたレース中のペーサーとして使えるかはもう少し使い込んでから答えが出せると思います。
ランのパワー!?
ちなみに、ランでもバイクモードで走ればパワーを測定できます。もっというと心拍数から推算するのでどんなスポーツでもパワーを測定できることになります。
とはいえ、「ランのパワーって何だ?」っていう話になりますね(笑)
基本的にはバイクでの心拍とパワーの関係を推算するアルゴリズムだと思うので、他のスポーツで表示されるパワーは「バイクで○○W相当の負荷が心臓にかかっている」というように解釈するのが妥当かなと思います。ひょっとすると体へかかる負荷の目安には使えるかもしれませんね。