では、ロードバイクとTTバイクの違いは何なのか?
トライアスロンにはどちらが良いのか?
といった点を説明していきたいと思います。
ロードバイクとTTバイクの違い
ロードバイクは最近では2種類に分けられることが多くなってきました。一つは昔からあるロードバイク、もう一つはタイムトライアル(Time Trial 略してTT)用に特化したロードバイクでTTバイクと呼ばれます。ちなみにタイムトライアルというのは1人で走った時のタイムを競う競技です。
2つのバイクの機能的な違いをざっくり比較すると次のようになります。
ロードバイク | TTバイク | |
空気抵抗 | △ | ◎ |
重量 | ○ | △ |
運動性 | ○ | △ |
重くて曲がりにくいけど空気抵抗が少ない自転車がTTバイク、という感じですね。
なぜ、2種類に分かれるの?
その理由は競技ルールの差です。ロードレースでは他人の後ろについて走ることが許可されています(これをドラフティングといいます)。ドラフティングすると前の人が風よけになり空気抵抗が減るのでとても楽に走ることができるんですね。実際のレースでは何人かの集団になって先頭交代しながら走ります。先頭でしばらく頑張ると後は後方で休むという感じですね。こうすることで少ない労力で速く走ることができます。空気抵抗も先頭の時以外はそれほど気になりません。それよりも集団内で機敏に動ける運動性や登りに有利な軽さに重点が置かれるわけです。
一方、タイムトライアルやトライアスロンではドラフティングが禁止なので空気抵抗との戦いになります。一人で走るので運動性が低くてもそれほど問題になりません。ですのでTTバイクは極端に空気抵抗に重点を置いた設計になっています。
見た目の違いは下の写真を比べてみてください。見比べるのはフレームです。
ハンドルまわりはパーツ交換で変えることができますが、フレーム形状は変えることはできません(当たり前ですね)。そして、フレームでロードバイクかTTバイクかが決まります。
まず、TTバイクのフレームは横から見ると太く見えます。これはフレームの各パイプが扁平で飛行機の翼のような形になっているから。これは空気抵抗を減らすための工夫です。ワイヤー類がフレームの中を通るのも少しでも空気抵抗を減らしたいからです。※最近(2009年頃から)では普通のロードバイクでも扁平なパイプを使ったりワイヤーを中に通したりするモデルが増えています。
それに伴いフォークやシートステイも扁平なので振動吸収性はあまり良くないです。快適性よりスピード重視という考え方ですね。
しかし、実はこういうわかりやすい点よりも、もっと本質的に違う部分があります。
それがシートアングルです。
シロウト目には気づかない点ですが、ここがTTバイクとロードバイクを分ける大きなポイント。TTフレームはシートアングルが大きいのでサドルが前に出る=前乗りになります。そして前乗りでは体重を腕で支える比率が増えるのでDHバーがないと少々つらいです。
つまり大きいシートアングルのフレームはDHバーを使うことを前提に設計されているわけです。
また、前乗りではハンドルの位置をロードバイクよりも低くしないと適正なポジションが出ません。ですのでTTフレームではヘッドチューブの長さがロードバイクより短めになっていたり、形状を工夫してハンドル位置を低くできるものが多いです。逆にロードバイクの場合、ヘッドチューブが長いものが多いです。
基本的にはヘッドチューブが長い方がフォークを支える上下のベアリングの距離を大きくとれます。これはヘッド周辺の捻り強度・剛性に有利になんですね。なのでロードバイクの場合は空気抵抗よりもスプリントや下りでのハンドル周りの剛性を重視しているのではないかと思います。
それからTTバイクはBBからリアホイールの距離(リアセンター)が短いフレームが多いことも特徴です。一般的にはリアセンターが短い方がパワーロスが少なくダイレクト感・加速感がよいフレームになります。替わりに脚への負担が大きいとも言えますが・・・
ロードでも加速感の良いフレームはリアセンターをつめています(タイヤがシートチューブギリギリのものがあったりします)ただ、シートアングルが小さいのでTTバイクほどは短くはできません。そういう意味でもTTバイクは快適性よりとにかくパワーロス無く速く走る方向に振ったフレーム作りだと言えます。
どちらを選ぶべきか?
さて、問題はどちらを選ぶべきかですね。
DHバーを使ってより速く走れるポジションを作ろうとすると、ヘッドチューブが短くてシートアングルが大きいフレーム、つまりTTフレームの方がポジションを調整する自由度が高くなります。
ですので、トライアスロンしか出ない(特にロングのレース)、バイクが得意、というのであれば迷うことなくTTバイクを選ぶことをオススメします。
一方、DHバーは怖いから使わない、のんびり走りたい、ロードレースに出たりツーリングなどにも使いたい、というように自転車を色々と楽しみたいなら汎用性の高いロードバイクをオススメします。ハンドルの位置やシートアングルはステムやシートポストである程度は調整できますからね。