トライアスロン練習計画の組み立て(理論編)

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大会が決まれば次は練習スケジュール作りです。
ここでは週単位で練習スケジュールを組んでいく方法をご紹介します。
初心者の方はまずはこれに従ってトレーニングを組み立ててみてください。

 スケジュールは週単位、3:1サイクルで!

「初大会までに必要な練習期間」の記事では大雑把なイメージを掴んでもらいたかったので「月」単位でお話ししましたが、実際に練習スケジュールを組むときは「週」単位で組むと計画を立てやすいです。

基本的な練習のサイクル」という記事でも書きましたが、初心者の場合まずは3週間頑張って1週間休むという3:1サイクル(と名付けてみました)を基本として計画を立てましょう。

まずはこれでやってみて「どうも3週間だと疲れがたまってダメだ・・・」という場合は2週間頑張って1週間休むというような2:1サイクルを試してもらえばよいと思います。ここでは3:1サイクルを行うものとして話を進めていきます。

下の図は3:1サイクルを3ヶ月間やった場合の図です。

トレーニングサイクル

1週目から3週目まで段階的にトレーニングの量・質を上げていって4週目は休息週としてトレーニング量をグッと落とします。

そして休んで回復したら、また次のサイクルをスタートさせますが2回目のサイクルの1週目(上の図の5週目)は1回目のサイクルの1週目より少し強いトレーニングを行います。そうして全体的に2回目のサイクル(5〜8週)の方が1回目に比べて質・量を少し増やすようにします。

このような感じでサイクルをくり返していけばドンドンとパワーアップしていく・・・となれば嬉しいのですが実は世の中そんなに甘くありません。

3ヶ月単位で区切る

先ほどの図をみてもらうとドンドンと練習の量と質が上がっていき、パフォーマンスもそれに合わせてドンドン上がっていくような気がしますね。

しかし、練習がハードになると疲労もそれだけ大きくなります。現実には体力向上よりも疲労の蓄積の方が上回るので、4週ごとに休息週を入れても疲労から回復しきれなくなり、今度は次第にパフォーマンスが下がってきます。

そのまま頑張りつづけるとオーバートレーニングまっしぐらです。

その上限に来る期間がどれぐらいかというのは個人差もあり難しいのですが、僕が知る限りでは大体12週間、約3ヶ月を一つの区切りと考える場合が多いようです。メンタル的にもこれぐらいの期間で一旦休息を入れた方が良いかなと思います。

具体的には13週目(4ヶ月目の1サイクル目)は1週目に近いぐらいまで練習量を落とします。そこからまた同じようにサイクルを回していくというイメージです。また、12週間終了時点で疲労感があれば3サイクル目の休息週が終わった後もう1週間休息週にするのもありです。

こう書くと「せっかく3ヶ月つけた体力が落ちてしまう!」と心配になりますが、継続して運動している限りそんなに急に体力は低下しません。体力はトレーニングではなくそこからの回復の過程で養われますからね。3ヶ月しっかり頑張ってそれを熟成させるために休むと考えてください。

ベテランのアスリートの場合はこの3ヶ月目終了あたりに記録会や練習としての大会を入れるのが理想ですが、トライアスロン初参加を目指す人の場合はどれかの種目の記録会のようなものをすると良いと思います。

ただ、初心者の場合は伸び盛りなので3ヶ月以上ずっと伸び続ける可能性が高いです。そのまま頑張ってもらっても良いですが、燃え尽きたりケガを防ぐという意味でも12週間を一区切りとしたサイクルをすることをオススメします。

テーパリングという考え方

先ほども書いたように、残念ながらヒトの体力や体調は右肩上がりで無限に上がっていくことはなく、ピークまで上がると今度は徐々に下がっていきます。ピークの状態をずっと維持できれば嬉しいのですが現在のところその方法は発見されていません。

ですから、プロの選手は本命の大会の時にピークが来るようにトレーニングを調整します。このことをピーキングと呼び、一般的にはトレーニング量を段階的に減らしていく(テーパリングと呼びます)ことによってピークを調整します。

プロだけでなくトレーニングをしっかり積んだベテランのアスリートも狙いのレースを定めてテーパリングをしたりします。そのためには大会の1〜3週間前から調整週としてトレーニングの量や質を段階的にコントロールする期間が必要になり、それも踏まえてスケジュールを立てる必要があります。

しかしですね、トライアスロンデビューを目指す初心者の場合、テーパリングというのはほとんど気にする必要はないと思います。さすがに前日までハードなトレーニングをすることはオススメしませんが、大会の1週間前からトレーニング量を減らして疲れを抜く、ぐらいに考えておけばよいでしょう。

初めての大会だとどうしてもう不安で直前まで頑張って練習したくなるかもしれませんが、「トライアスリート・トレーニング・バイブル」によると、

1つの練習の効果が十分にわかるまでには、およそ10日かかります。

という話があります。この話が事実だとすると、大会10日前からは頑張ってトレーニングしてもレースまでに体力が向上することはなく、ただ疲れをためるだけということになりますね。

一夜漬けはトレーニングの世界では無しということです。ですから今まで頑張ってトレーニングしてきたのなら自信を持って練習量を減らしましょう。

トレーニング計画のまとめ

今まで書いてきたことをまとめると

  1. 週ごとでトレーニングの強度・量を決める
  2. 3:1サイクルで強度・量をコントロールする
  3. 3ヶ月サイクルで区切る
  4. 大会1週間〜10日前ぐらいから調整週を設ける

という感じになります。

まとめるとシンプルですが、いざ具体的なスケジュールに落とし込んでいこうとすると「こんな場合はどうするんだ?」というところがたくさん出てきます(苦笑)

それは一人一人の創意工夫で何とかするべきなのですが、実践編でもう少し具体的な組み立て方を書きたいと思います。

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