ここでは実際に練習スケジュールを組み立てみたいと思います。あくまで例ですので自分自身の環境に合わせてアレンジすることを忘れないで下さいね。
今回のモデル
この記事でスケジュールを立てるに当たっては具体的にキャラクターを作った方が考えやすいと思うので、次のような人を想定しみました。
名前:渡来 太郎(とらい たろう)さん
年齢:40歳
性別:男性
職業:自動車メーカー勤務の事務職、残業はあるのが普通
運動経験:たまにゴルフをやる程度
水泳:学校の授業で泳いだことがあるレベル。カナヅチではない
家族構成:奥さん・娘1人(4歳)の3人家族
体型:メタボの一歩手前ぐらい
背景:
渡来さんはメタボ健診に引っかかる寸前の状態で、このままではマズイとずっと考えていました。
そんな思いを抱きながら向かえた40歳になる年の正月。たまたま本屋さんで見かけたトライアスロン雑誌に触発され一念発起してトライアスロンに挑戦すると決めました。
運動は学生の頃はテニスなど球技をやっていましたが、社会人になってからは週に1回打ちっ放しに行くかどうかというレベル。ほぼゼロからのスタートです。
いかがでしょう?すごく適当にキャラを決めてみました。特に誰がモデルでもなくツッコミどころも沢山あると思いますが、まぁ大目に見てください。この渡来さんをモデルケースとして考えていきます。
スケジュールは逆算で決める
まずは年間スケジュールを決めていきましょう。そのために必要なのは目標とする大会ですね。
渡来さんの場合、水泳はカナヅチでありませんがほぼゼロからのスタートに近いです。バイクにも乗ったことがありません。理想を言えば5〜6ヶ月は欲しいところです。
そこで渡来さんは6月2週目に地元で開催するオリンピックディスタンスの大会に出場することにしました。1月中はグッズを揃えたり練習環境を整えることに費やすので、実際の練習開始は2月から。
ですのでトレーニング期間は実質5ヶ月という想定です。
出場大会が決まるとまずは逆算で大まかな練習スケジュールはすぐに作ることが出来ます。それが下の表です。
2列目の日付はその週の月曜日の日付になります。日本ではレースはほぼ100%日曜日に開催されるので月曜始まりのカレンダーで考えると便利です。
レースがある週の期は「レース期」として、その前の1週間は「調整期」、そこから12週間は4週毎に区切って「レーニング期1〜3」と名付けておきます。残りの週は「準備期」ですね。
このように期に分けてスケジュールを組むと何をするべきかが明確になります。
ここで、各期について説明しておきます。
準備期
渡来さんの場合、まずは体を慣らしたり必要なスキルを養うことが大切です。この準備期では次のトレーニング期にしっかり練習できるようにするためのベースを作る期間という位置づけになります。ここでガツガツ頑張る必要はまったくありません。普通に会話できるレベルまでの負荷にとどめます。眠っていた体を起こす段階ですからのんびり頑張りましょう。
渡来さんの準備期の目標はシンプルに次の3つです。
- 水泳は100m以上連続で泳げるようになる
- バイクに1時間以上乗れるようになる
- ランで30分以上走れるようになる
もちろん人によって目標は変わると思いますが、少なくとも1時間は運動を続けることに慣れるように頑張ることが大切です。
トレーニング期
ここは理論編で説明した3:1のサイクルで大会に向けて体力アップのためのトレーニングを行っていきます。
とはいっても、特に初心者で完走目的の場合、トレーニングの9割は普通に会話できるレベルの負荷で十分です。ゼェゼェいうような練習をする必要はほとんどありません。
ついつい頑張りたくなるかもしれませんが焦りは禁物。ケガをすると全てが台無しになってしまうので気をつけましょう。
調整期
レース前の1週間は練習量をぐっと落として体の回復に努めます。3ヶ月間のトレーニングでたまった疲れを落とす感じですね。
「今まで養った体力が落ちてしまう!」
と焦らないでください。3ヶ月しっかりやっていればそう簡単には下がりません。調整期が終わる頃には動きたくてウズウズするぐらいになったらベストです。
レース期
レースの週は疲労をためない程度に刺激を入れます。速いペースで短時間、というトレーニングを行いレースに向けて動ける体の状態をキープすることを目指します。
回復期
レース後にしばらくのんびりする期間です。
初レースの後はやり遂げたという開放感だけでなく、レース中にうまくいかなかった点を改善したいと思って、練習したくて仕方が無い気分になる人が多いです。
ですが、体は思っている以上に疲れているのでまずは休みましょう。練習は軽く体を動かす程度にして体の回復に努めましょう。初心者の人は数日は完全休息とした方がよい場合もあります。
1週間で使える時間を計算する
トレーニングの大枠が決まると、次は練習に使える時間です。
渡来さんは平日は残業がそれなりにありますが夜は1時間ぐらい時間がつくれます。出勤時間が早いので朝練習はちょっと厳しいという状況。また、土日は休みですが家族サービスもあるので半日以上練習に使えるのは土曜か日曜のどちらか一方だけです。片方はやっても1時間程度の時間としておきます。
この条件に加えて週に1回、平日に完全に練習をしない休息日を入れるとすると週の時間配分は次のようになります。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
時間 | 休み | 1h | 1h | 1h | 1h | 1h | 5h |
こうすると週の合計練習時間は10時間とれることになります。
さて、ではこの10時間という練習時間が多いか少ないかというと、初心者がオリンピックディスの完走を目指すなら十分だと思います。フルタイムで働きながらこれぐらいのボリュームの練習をこなすのは結構大変です。
また、初心者の人が1日に何時間も練習するのは体力面でもついていかないでしょう。
あと、ここで重要な点はこの時間は練習のための準備や移動の時間を含んでいないということです。スポーツクラブへの往復の時間、練習前に着替えたりドリンクを準備する時間、練習後に着替えたり道具を片付けたりする時間、体のケアをする時間などは含まれていません。
渡来さんの場合、平日の夜は通勤途中にあるスポーツクラブを利用することにしたので移動時間は気にする必要はありません。また、家からすこし走れば河川の堤防道路や山があるのでバイク練習もコースを求めて遠くまで移動する必要がありません。
ですから着替える時間(5〜10分)の余裕をもっておくだけでOK。体のケア(ストレッチ)は夜寝る前のくつろいだ時間に10〜20分ぐらいできます。
このように渡来さんはかなり都合が良い設定にしていますが(笑)、それでもトライアスロンの実際の練習時間に加えて30分ぐらいは時間が必要です
自由に使える時間に余裕がある人は気にしなくてもよいですが、家族もいて仕事も忙しいという人はこの練習前後の準備時間も考えて計画を立てないと
「思っていたより時間が無くて計画通り練習できない」
ということになってしまいます。ここは忙しい人は意外と見落としがちなので気をつけてください。
この部分は練習環境の整備をして実際にやってみないと分からないと思います。それをチェックするために準備期にいろいろと試しておくと現実的なトレーニング期の計画を立てることができると思います。
では1週間の時間配分が決まったら1日ごとの計画を立てていきます。
それは次の記事で!