心拍トレーニングのススメ

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初心者の人がトレーニングで最初に悩むのが、どれぐらいの運動強度で始めたら良いのか?ということだと思います。
その悩みの答えの一つが心拍数を基準とした心拍トレーニングです。心拍計という機材は必要ですが、特に最初の頃はよい指針になります。そんな心拍トレーニングの概要を説明していきます。

どれぐらいの運動強度で頑張ればよいのか?

体に負荷をかけると次からはその負荷に耐えられるように体を過剰に修復します。そういう体の仕組みを利用して体力や筋力をアップさせるのがトレーニングです。

ではどのぐらいの負荷(運動強度)をかけるのが適切なのでしょうか?

例えばランニングで考えた場合、一番簡単な運動強度の基準はペースになります。

ここで10年間トレーニングを続けているAさんと、10年ぶりにトレーニングを始めたBさんという二人のトライアスリートがいるとしましょう。当然ですが走力は全く違います。

二人の各々の肉体的限界を100%としたときに、Aさんにとっては40%ぐらいの負荷になるペースがBさんでは100%、場合によっては120%ぐらいになることもありえます。

そんなBさんがAさんと同じ練習を頑張ると、おそらくBさんはケガをするか練習についていけなくて心が折れます。

逆にBさんが40%ぐらいになる練習にAさんが合わせると、Aさんにとっては練習にならないぐらい低い負荷になってしまうでしょう。

このように身体能力には大きな個人差があるので、距離やペースといった基準で運動強度を決めるのはとても難しいです。特にトレーニングを始めたばかりの人は基準となるペースがわからず途方に暮れることになります。

では体にかかる負荷を身体能力に関係なく客観的に計れる指標はないのでしょうか?

心拍数は負荷のバロメーター

そこで目が付けられたのが心拍数です。

当たり前ですが、心拍数はそのときの体にかかる負荷に応じて増減します。

安静時は体はそれほど血液を必要としないので心臓はゆっくり鼓動しますが、走ったりして体が酸素や栄養を欲しているときは、その負荷に応じた量の血液を流すため鼓動は増えます。

このことをトレーニングに応用すると、各個人にあったペースを心拍数から決めることができます。

上の例のAさんとBさんが同じ心拍ゾーンになるペースで走ると、もちろんペースは大きく違いますが体にかかっている負荷はほぼ同じになると考えるとことができるわけです。

ここで心拍ゾーンという言葉が出て来ました。

実は、心拍トレーニングでは心拍数の絶対値で負荷はを決めてはいけません。なぜなら、安静時心拍数や最大心拍数は個人差・鍛錬の差・年齢差によって変化するためです。

またAさんとBさんの例を挙げると、二人とも安静時心拍数は50bpm(bpm=beats per minute:1分間の拍動数)で同じとして最大心拍数がAさんは200bpm、Bさんは170bpmとします。

この2人が同じ120bpmで練習したとすると、Aさんは上限まで80bpmの余裕がありますが、Bさんには50bpmしか余裕がありません。これでは同じ運動強度で練習しているとは言いがたいですよね。先ほど述べたペースを基準とした練習と似たような状態になってしまいます。

それを解消するのが心拍ゾーンという考え方で、計算方法はいろいろありますが基本的には「目標とする心拍数がその人の心拍数の“幅”に対して何パーセントになるか?」を計算して求めます。これがわかると心拍ゾーンが80%になる練習をする場合、Aさんは180bpm、Bさんは160bpmに設定すればよいということが分かります(数字は適当です)。

こういう決め方をすると、「初心者で運動未経験の人は50%〜60%になるペースでジョギングから始めましょう」というように具体的な練習内容を数字で決めることができるようになります。あとは、心拍ゾーンを自分の心拍数に置き換えるだけです。

さらに心拍ゾーンを守ってトレーニング内容を組み立てていくとでオーバートレーニングになりにくく、効率よく練習ができます。

このように個人個人の体力に合わせた運動強度を設定できる便利さから、90年代には自転車競技などで心拍トレーニングはほぼ常識となりトライアスロンでも広く普及しています。トレーニング方法の解説でも心拍数を基準に練習強度が書かれているものが多いです。

ただし、実際には心拍数はその日の体調や疲労具合によっても左右されるので、必ずしも絶対的な基準にはならないことにも注意が必要です。最後はやはり自分の体との対話が重要になってくることもお忘れ無く。

とはいえ、初心者の人は基準がまったくない状態。そういう状態では心拍トレーニングを取り入れることで、いきなり無理して体を壊す確率が低くなりますし、体力が付くと同じ心拍数でも以前よりも速いペースで走れることが実感できるのでモチベーションアップにもなります。

予算が許すなら是非心拍計を検討してください。

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